昨日の産経新聞で、ジャーナリストの葛城奈海さんが 「『女系天皇』理解していない国民」という コラムを書いていた。 前半は天皇陛下に対する国民感情について 触れている。戦時中も戦後も一緒くたにして 語っているところに論理の飛躍があると思うけど、 問題はコラム後半。 産経新聞社とFNNの合同世論調査で、 女性天皇と女系天皇の違いを5割超が 「理解していない」という結果になったことを 取り上げ、以下、このように続けている。 天皇陛下に至る126代の天皇は、 すべて父方をさかのぼれば初代・神武天皇に つながるとされる「男系」天皇だ。 歴史上10代8方おられる女性天皇も含めて、 例外はない。 仮に、母方のみに天皇が存在する「女系天皇」が 誕生すれば、これまでとはまったく異なる皇統に なってしまう。 悠仁さまと同世代の男性皇族が他にいないからと、 曖昧な認識のままに、女系天皇を良しとすることは、 日本古来の万世一系の歴史の断絶を招く重大事なのだ。 歴史を振り返れば、同様の危機は何度もあった。 しかし、先人たちは、何代もさかのぼり、 時には10親等も離れた男系の血を受け継ぐ者を 探し出し、皇統を維持した。 困ったときには先人に学べばよいのだ。 それが今を生きるわれわれの責務でもある。 お決まりのフレーズ、どこかで聞いたような言い回し、 男系原理主義者の完全コピペ文章だ。 神武天皇につながるというなら、 欠史八代をどう説明するつもりなのか。 「例外なく男系男子でつながってきた」 というのは明確な根拠を欠く。 そもそも、そんなに伝統だの万世一系だのといって 神武天皇をかつぐのに、天照大御神の存在はスルーか。 また母親のみに天皇が存在するなら「まったく異なる皇統になる」 って書いているのだけれど、これはどういう意味か。 (別バージョンには「まったく異なる王朝ができあがる!」がある) 皇統というのは、血統ということ? だとしたら男系の血を崇め奉っていることになる。 なぜ男系の血? Y染色体を信奉している以外に説明がつかない。 しかし葛城さんはコラムで、多くの国民が陛下に 敬愛の念を抱いていると書いている。 なぜなら、われわれ国民を慈しみ、幸せを祈って くださるから。 そして、この敬愛の念は、自然発生的に沸き上がった 国民感情の発露である、と。 思いっきり矛盾していませんか??? そうなんですよ。 国民は、男系の血だから天皇を敬愛しているのではない。 これは、言い方を変えれば、女系になったとて、 それをもって敬愛の念がなくなるわけではない ということだ。 さらに、先人たちは10親等も離れた男系の血を 受け継ぐ者を探し出した(=だから旧宮家系の 男系男子に皇籍を取得させろ)というけれど、 ならば「君臣の別」をどう考えるのか。 聖域としての皇室を守ってきた“伝統”は 無視してよいのか。 平将門や源頼朝は天皇になるべきだったのか。 先人に学べばよいというが、過去がそのまま 現代に当てはまるケースはほとんどない。 時代に合わせて、何を守るのかを考えることが いまの私たちに求められていることだろう。 私は、男系の血よりも、天皇と国民の紐帯を守りたい。 そもそも、男系男子に限定したままでは、 側室がいなければ成り立たない。 葛城さんは側室を容認するのだろうか。 女性として、側室OK!!!と思うのなら、 そこまで堂々と解決策として書くべきだ。 あるいは女系天皇が誕生したら「まったく別の皇統」 となり、それは受け入れられないと拒否する心づもりか。 だとするなら、あなたが書いた「敬愛の念」とは何か。 「自然発生的な国民感情」とは一体なんなのか。 万世一系の歴史の断絶、などと書くけれど、 きわめて観念的だ。 それは一体どういう事態を指すのか。 葛城さんは、ポジショントークをしない人だと 思っていたけれど、そうではなかった。残念。
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